使用済小型家電のリサイクル(イヤホン編)

今や電車で移動中に暇をつぶす方法といえば、大多数は、スマホを見ているか、スマホ等で音楽を聴いているか、はたまたその両方か、という具合である。

個人的には、取り回しが面倒なので、例えワイヤレスでもヘッドホンを使う人の気持ちは分からないが、片やイヤホンの方は、もはやどれだけ使い潰したか分からない程度には愛用している。

ただ、そう使い潰すにあたって問題となるのは、その処分方法である。

それがバッテリーを内蔵しているか否かで、そもそもゴミとして出せるかが変わってくる。
少なくとも、バッテリー内蔵の時点で、爆発等の危険から「燃えるゴミ」には出せないし、「燃えないゴミ」に出そうにも、バッテリー(小型充電式電池)は多くの自治体で、リサイクル品目となっているので、イヤホンから分離しなければ処分できない(当然、素人が分離を手ずからするのは推奨しない)。
つまり、確実にバッテリーを内蔵しているワイヤレスイヤホンに関しては、ゴミとしては処分できないことになる。

ではどう処分すれば良いかと言えば、「〇〇(市区町村) 使用済小型家電」と検索すると、多くの自治体で回収方法が案内されている。
回収BOXを設置して、そこで回収を行っている例も多い。

ところで、この使用済小型家電の回収は、使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律(平成24年法律第57号)によるもので、その対象品目は、同法施行令(平成25年政令第45号)1条で28類型が定められており、件のワイヤレスイヤホンは、同条の、

 デジタルオーディオプレーヤー、ステレオセットその他の電気音響機械器具

――に該当する。

ただ、ここで言う「電気音響機械器具」が何なのかについては、特段その根拠を解説しているページがなかったので、備忘録的に、それをまとめようとしたのが本投稿の動機である。
あくまで独自調査によるものなので、その点はあしからず。



さて、前置きがかなり長くなったが、以下、なぜ「電気音響機械器具」にワイヤレスイヤホンが該当するのかを解説していく。

まず、同法を所管する環境省と経済産業省の連名で、「使用済小型電子機器等の回収に係るガイドライン(Ver.1.2)」(平成30年6月付け)というものが出されていて、その中で、

2 制度対象品目・特定対象品目について
2.1 制度対象品目

(中略)
品目の分類は、「商品分類表(製造業)」(平成24年経済センサス・活動調査)に基づいて整理を行っています。品目の分類と「商品分類表(製造業)」の関係は、参考1を参照して下さい。

とあって、更に「参考1」では、「電気音響機械器具」について「電気音響機械器具(3023)」との対応が謳われている。

ところが、実際にその調査結果を参照してみると、私が調べた限りでは、「商品分類表(製造業)」なるものは発見できなかった。
だが、産業別集計‐製造業‐品目編の「利用状の注意」を参照したところ、

5.製造業(品目編)について
(1) 本編は、製造業について「工業統計調査(経済産業省)」(以下「工業統計」という。)との時系列比較を可能とするために、「平成24年経済センサス‐活動調査」(以下「活動調査」という。)の調査結果のうち、以下の全てに該当する製造事業所について品目別に集計したものである。
・管理、補助的経済活動のみを行う事業所ではないこと
・製造品目別に出荷額が得られた事業所であること

――とあり、製造品目については工業統計調査とリンクしているものと思われたので、次に工業統計調査の分類関係資料である「平成24年商品分類表」を参照した。

同分類表では、「電気音響機械器具(3023)」として、「3023 11 ステレオセット DAT・DAD付ステレオセット等」から「3023 91 電気音響機械器具・同部分品・取付具・附属品(賃加工)」までの11類型が定められている。

では、ワイヤレスイヤホンはどうかというと、

3023 21 スピーカシステム、マイクロホン、イヤホン、音響用ピックアップ類等(完成品)

――がそれであり、特段有線・無線の別は謳われていないので、イヤホンの類はもれなく該当することとなる。

ということで、間違いなく「電気音響機械器具」にあたるワイヤレスイヤホンは、前段の「使用済小型家電の回収」に出せるという訳である。
ちなみに、「3023 21」の類型は完成品に限ってのものなので、むしろ分解などをしてしまうと、別品目の

2822 11 音響部品

 スピーカ(コーン形、ホーン形、圧電形等)、イヤホンカートリッジ、マイクロホンカートリッジ、サウンダー、ブザー等

に該当し、回収対象からは外れることとなる。



ひと口にゴミの分別と言っても、その扱いは各自治体によって様々であり、つまり1,741通り(2023年7月14日現在)のゴミの捨て方が存在する。

その中で、使用済小型家電の回収のような、全国横断的に行われている施策は、自治体によっては担当者がその詳細を熟知していないケースというのが、往々にして見受けられるから、ワイヤレスイヤホンの捨て方で、万一トラブルとなったようなレアケースの方には、解決の糸口に役立てていただければ幸いである。

コメントは停止中ですが、トラックバックとピンバックは受け付けています。