行政不服審査法の読み替え後の規定

地方自治体の情報公開制度を利用しているとありがちだが、多くの場合「審査会」を設置して、そこに開示決定等の是非を諮問する制度としているため、審理員に関する規定を適用しない旨が条例で定められていることが多い。

たとえば、東京都ではこのようになっている。

東京都情報公開条例(平成11年東京都条例第5号)

(審理員による審理手続に関する規定の適用除外)
第十九条 開示決定等若しくは開示請求がこの条例に規定する要件を満たさない等の理由により開示請求を拒否する決定(第二条第二項各号又は第二条の二に規定する適用除外文書である場合又は前条各項に該当するため公文書の開示をしない場合を含む。以下「開示決定等若しくは開示請求拒否決定」という。)又は開示請求に係る不作為についての審査請求は、行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)第九条第一項本文の規定は、適用しない。

このような場合は、行政不服審査法の別表第一による読み替えがされ、「審理員」が「審査庁」となったりするのだが、単純な読み替えでない箇所もかなりの数あるので、この際、『e-Gov法令検索』から引用等のうえ、読み替え後の規定をまとめておくことにした。

本記事から引用等される場合は、デジタル社会の形成を図るための規制改革を推進するためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律(令和5年法律第63号)による改正後時点の『e-Gov法令検索』上のデータに基づくものであること、正確性を保証するものではないことを事前に断っておく。

行政不服審査法(平成26年法律第68号)抜粋※読み替え後
出典:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=426AC0000000068 より読み替え改変

(総代)
第十一条
2 共同審査請求人が総代を互選しない場合において、必要があると認めるときは、審査庁は、総代の互選を命ずることができる。
(参加人)
第十三条 利害関係人(審査請求人以外の者であって審査請求に係る処分又は不作為に係る処分の根拠となる法令に照らし当該処分につき利害関係を有するものと認められる者をいう。以下同じ。)は、審査庁の許可を得て、当該審査請求に参加することができる。
 審査庁は、必要があると認める場合には、利害関係人に対し、当該審査請求に参加することを求めることができる。
(執行停止)
第二十五条
 執行停止の申立てがあったとき、審査庁は、速やかに、執行停止をするかどうかを決定しなければならない。

(審理手続の計画的進行)
第二十八条 審査請求人、参加人及び処分庁等(以下「審理関係人」という。)並びに審査庁は、簡易迅速かつ公正な審理の実現のため、審理において、相互に協力するとともに、審理手続の計画的な進行を図らなければならない。
(弁明書の提出)
第二十九条 審査庁は、審査請求がされたときは、第二十四条の規定により当該審査請求を却下する場合を除き、速やかに、審査請求書又は審査請求録取書の写しを処分庁等に送付しなければならない。ただし、処分庁等が審査庁である場合には、この限りでない。
 審査庁は、審査庁が処分庁等以外である場合にあっては、相当の期間を定めて、処分庁等に対し、弁明書の提出を求め、審査庁が処分庁等である場合にあっては、相当の期間内に、弁明書を作成するものとする。
 審査庁は、第二項の規定により、処分庁等から弁明書の提出があったとき、又は弁明書を作成したときは、これを審査請求人及び参加人に送付しなければならない。
(反論書等の提出)
第三十条 審査請求人は、前条第五項の規定により送付された弁明書に記載された事項に対する反論を記載した書面(以下「反論書」という。)を提出することができる。この場合において、審査庁が、反論書を提出すべき相当の期間を定めたときは、その期間内にこれを提出しなければならない。
 参加人は、審査請求に係る事件に関する意見を記載した書面(第四十条及び第四十二条第一項を除き、以下「意見書」という。)を提出することができる。この場合において、審査庁が、意見書を提出すべき相当の期間を定めたときは、その期間内にこれを提出しなければならない。
 審査庁は、審査請求人から反論書の提出があったときはこれを参加人及び処分庁等(処分庁等が審査庁である場合にあっては、参加人)に、参加人から意見書の提出があったときはこれを審査請求人及び処分庁等(処分庁等が審査庁である場合にあっては、審査請求人)に、それぞれ送付しなければならない。
(口頭意見陳述)
第三十一条 審査請求人又は参加人の申立てがあった場合には、審査庁は、当該申立てをした者(以下この条及び第四十一条第二項第二号において「申立人」という。)に口頭で審査請求に係る事件に関する意見を述べる機会を与えなければならない。ただし、当該申立人の所在その他の事情により当該意見を述べる機会を与えることが困難であると認められる場合には、この限りでない。
 前項本文の規定による意見の陳述(以下「口頭意見陳述」という。)は、審査庁が期日及び場所を指定し、全ての審理関係人(処分庁等が審査庁である場合にあっては、審査請求人及び参加人。以下この節及び第五十条第一項第三号において同じ。)を招集してさせるものとする。
 口頭意見陳述において、申立人は、審査庁の許可を得て、補佐人とともに出頭することができる。
 口頭意見陳述において、審査庁は、申立人のする陳述が事件に関係のない事項にわたる場合その他相当でない場合には、これを制限することができる。
 口頭意見陳述に際し、申立人は、審査庁の許可を得て、審査請求に係る事件に関し、処分庁等に対して、質問を発することができる。
(証拠書類等の提出)
第三十二条
 前二項の場合において、審査庁が、証拠書類若しくは証拠物又は書類その他の物件を提出すべき相当の期間を定めたときは、その期間内にこれを提出しなければならない。
(物件の提出要求)
第三十三条 審査庁は、審査請求人若しくは参加人の申立てにより又は職権で、書類その他の物件の所持人に対し、相当の期間を定めて、その物件の提出を求めることができる。この場合において、審査庁は、その提出された物件を留め置くことができる。
(参考人の陳述及び鑑定の要求)
第三十四条 審査庁は、審査請求人若しくは参加人の申立てにより又は職権で、適当と認める者に、参考人としてその知っている事実の陳述を求め、又は鑑定を求めることができる。
(検証)
第三十五条 審査庁は、審査請求人若しくは参加人の申立てにより又は職権で、必要な場所につき、検証をすることができる。
 審査庁は、審査請求人又は参加人の申立てにより前項の検証をしようとするときは、あらかじめ、その日時及び場所を当該申立てをした者に通知し、これに立ち会う機会を与えなければならない。
(審理関係人への質問)
第三十六条 審査庁は、審査請求人若しくは参加人の申立てにより又は職権で、審査請求に係る事件に関し、審理関係人に質問することができる。
(審理手続の計画的遂行)
第三十七条 審査庁は、審査請求に係る事件について、審理すべき事項が多数であり又は錯綜そうしているなど事件が複雑であることその他の事情により、迅速かつ公正な審理を行うため、第三十一条から前条までに定める審理手続を計画的に遂行する必要があると認める場合には、期日及び場所を指定して、審理関係人を招集し、あらかじめ、これらの審理手続の申立てに関する意見の聴取を行うことができる。
 審査庁は、審理関係人が遠隔の地に居住している場合その他相当と認める場合には、政令で定めるところにより、審査庁及び審理関係人が音声の送受信により通話をすることができる方法によって、前項に規定する意見の聴取を行うことができる。
 審査庁は、前二項の規定による意見の聴取を行ったときは、遅滞なく、第三十一条から前条までに定める審理手続の期日及び場所並びに第四十一条第一項の規定による審理手続の終結の予定時期を決定し、これらを審理関係人に通知するものとする。当該予定時期を変更したときも、同様とする。
(審査請求人等による提出書類等の閲覧等)
第三十八条 審査請求人又は参加人は、第四十一条第一項又は第二項の規定により審理手続が終結するまでの間、審査庁に対し、提出書類等(第二十九条第四項各号に掲げる書面又は第三十二条第一項若しくは第二項若しくは第三十三条の規定により提出された書類その他の物件をいう。次項において同じ。)の閲覧(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)にあっては、記録された事項を審査庁が定める方法により表示したものの閲覧)又は当該書面若しくは当該書類の写し若しくは当該電磁的記録に記録された事項を記載した書面の交付を求めることができる。この場合において、審査庁は、第三者の利益を害するおそれがあると認めるとき、その他正当な理由があるときでなければ、その閲覧又は交付を拒むことができない。
 審査庁は、前項の規定による閲覧をさせ、又は同項の規定による交付をしようとするときは、当該閲覧又は交付に係る提出書類等の提出人の意見を聴かなければならない。ただし、審査庁が、その必要がないと認めるときは、この限りでない。
 審査庁は、第一項の規定による閲覧について、日時及び場所を指定することができる。
 審査庁は、経済的困難その他特別の理由があると認めるときは、政令で定めるところにより、前項の手数料を減額し、又は免除することができる。
(審理手続の併合又は分離)
第三十九条 審査庁は、必要があると認める場合には、数個の審査請求に係る審理手続を併合し、又は併合された数個の審査請求に係る審理手続を分離することができる。
(審理手続の終結)
第四十一条 審査庁は、必要な審理を終えたと認めるときは、審理手続を終結するものとする。
 前項に定めるもののほか、審査庁は、次の各号のいずれかに該当するときは、審理手続を終結することができる。
  次のイからホまでに掲げる規定の相当の期間内に、当該イからホまでに定める物件が提出されない場合において、更に一定の期間を示して、当該物件の提出を求めたにもかかわらず、当該提出期間内に当該物件が提出されなかったとき。
   第二十九条第二項 弁明書
   第三十条第一項後段 反論書
   第三十条第二項後段 意見書
   第三十二条第三項 証拠書類若しくは証拠物又は書類その他の物件
   第三十三条前段 書類その他の物件
  申立人が、正当な理由なく、口頭意見陳述に出頭しないとき。
 審査庁が前二項の規定により審理手続を終結したときは、速やかに、審理関係人に対し、審理手続を終結した旨を通知するものとする。

(裁決の時期)
第四十四条 審査庁は、審理手続を終結したときは、遅滞なく、裁決をしなければならない。
(裁決の方式)
第五十条 裁決は、次に掲げる事項を記載し、審査庁が記名押印した裁決書によりしなければならない。
  主文
  事案の概要
  審理関係人の主張の要旨
  理由

続いて、行政不服審査法施行令の読み替え後は以下のとおり。
なおこちらは、マンションの管理の適正化の推進に関する法律及びマンションの建替え等の円滑化に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令(令和3年政令第265号)による改正後時点の『e-Gov法令検索』上のデータに基づくものであること、行政不服審査法の読み替えと同様、正確性を保証するものではないことを事前に断っておく。

行政不服審査法施行令(平成27年政令第391号)抜粋※読み替え後
出典:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=427CO0000000391_20220401_503CO0000000265 より読み替え改変

(代表者等の資格の証明等)
第三条
 審査請求人は、代表者若しくは管理人、総代又は代理人がその資格を失ったときは、書面でその旨を審査庁に届け出なければならない。
(弁明書の提出)
第六条 弁明書は、正本並びに当該弁明書を送付すべき審査請求人及び参加人の数に相当する通数の副本を提出し、又は作成しなければならない。
(反論書等の提出)
第七条 反論書は、正本並びに当該反論書を送付すべき参加人及び処分庁等(処分庁等が審査庁である場合にあっては、参加人)の数に相当する通数の副本を、法第三十条第二項に規定する意見書(次項及び第十五条において「意見書」という。)は、正本並びに当該意見書を送付すべき審査請求人及び処分庁等(処分庁等が審査庁である場合にあっては、審査請求人)の数に相当する通数の副本を、それぞれ提出しなければならない。
(映像等の送受信による通話の方法による口頭意見陳述等)
第八条 審査庁は、口頭意見陳述の期日における審理を行う場合において、遠隔の地に居住する審理関係人(処分庁等が審査庁である場合にあっては、審査請求人及び参加人。以下この条において同じ。)があるとき、その他相当と認めるときは、総務省令で定めるところにより、審査庁及び審理関係人が映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法によって、審理を行うことができる。
(通話者等の確認)
第九条 審査庁は、法第三十七条第二項の規定による意見の聴取を行う場合には、通話者及び通話先の場所の確認をしなければならない。
(手数料の減免)
第十三条 審査庁は、法第三十八条第一項の規定による交付を受ける審査請求人又は参加人(以下この条及び次条において「審査請求人等」という。)が経済的困難により手数料を納付する資力がないと認めるときは、同項の規定による交付の求め一件につき二千円を限度として、手数料を減額し、又は免除することができる。
 手数料の減額又は免除を受けようとする審査請求人等は、法第三十八条第一項の規定による交付を求める際に、併せて当該減額又は免除を求める旨及びその理由を記載した書面を審査庁に提出しなければならない。

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