郵便と電話と電子メールと(情報公開請求の話)

(2020年8月26日追記)

趣味で「調べ物」と謳っているぐらいであるから、かなり前から各所に情報公開請求をしてきた。
調べた結果を冊子にまとめる都合もあって、決まったテーマで複数箇所へ同時並行的に請求を投げるということを仕出したのは、ここ2、3年の話だが、それでも累計の件数で言えばとうに百は超えているだろうか。

情報公開請求と言っても、さして難しいことではない。
行政機関宛であれば、行政機関情報公開法1)行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号)と同施行令2)行政機関の保有する情報の公開に関する法律施行令(平成12年政令第41号)を把握していれば足りるし、それが独立行政法人(独法)等に変われば、独法等情報公開法3)独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成13年法律第140号)と同施行令4)独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律施行令(平成14年政令第199号)に置き換わるだけの話である。
私の場合は、役所謹製の「標準様式」と呼ばれるものに肌が合わないので、施行令の規定事項も含めた独自様式で開示請求書を作成しているが、こだわりがなければ、「標準様式」に所要事項を記入し、手数料分の収入印紙(1件300円)を添付(請求を取り下げることをあるから、あえて貼付しない)して郵送するだけで、大した面倒もない。

しかし、視野を地方自治体へ転換すると、途端に気にしなければならないことが多くなる。
地方自治制度は、非常に複雑で、標準的な都道府県に市町村、特別区(東京23区)以外にも一部事務組合やら広域連合といった形態があり、市町村などと同様に条例制定権を有しているものもある。
上述の行政機関情報公開法や独法等情報公開法は、地方自治体の情報公開制度を定めているわけではない(努力義務のみ)から、各地方自治体によって制度自体の有無も異なる。つまり、地方自治体への情報公開請求は、まず、対象の地方自治体が情報公開制度を有しているかを調べることから始まる。
先に「標準的な」と形容した(1)都道府県、(2)市町村、(3)特別区――は、基本的に「例規集」や「法令集」と呼ばれるデータベースをインターネット上に公開している。その中から、情報公開制度を定めている条例を探し出す。
次に、係る条例を参照して、自らに情報公開請求の権利があるか確認する。特に(2)では、部外者に門戸を開いているものから関係者に限ったところまで千差万別で、実際に調べてみるまでは権利の有無は分からない。声高に「情報公開」が叫ばれていても、地方自治体のWebサイトではその案内が充実しているとは言えないから、どうしても条例に当たってみる必要が出てくる。

少なくとも(1)から(3)あわせて1800弱の条例が存在するはずなのだから、実際複数箇所とやり取りをしていると、一様な対応では如何ともし難い状況はたびたび訪れる。
分量の都合、一旦区切るとして、最後に表題を回収しておきたい。
複数箇所と同時並行的にやり取りをしていると、次のような弊害がある。
1 当該箇所からの問い合わせが個別に立て続けて架電されてくる。
2 請求書にメールアドレスを付記したりすると、電子メールと電話とで問い合わせの連打がくる。
3 問い合わせではないが、親切で郵便発送の連絡を電話でもくれたりするので、区別が付かず、端から返電するハメになる。
4 単純に、開示を受けるための費用負担が総額として多くなる。
――やはり、関係先が増える分、面倒も増分するということか。

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